第25章 出航準備、ラスト
セリシアSide
「ヤム姉!!」
ピス姉と共に鳥に乗って船場まで来た。
そこで、先に船の点検とかなんやらで仕事で来ていたヤム姉を見つけ、声をかける。
「セリシア!」
声に気付いたヤム姉はこっちに飛んできてくれる。
文字通り飛んで。
…でも、少し悲しそうな顔をして。
「…本当に今日、行っちゃうのよね?」
「うん。早く向こうの生活にも慣れなきゃいけないし。」
「あ、そっか!キユノ王国ってここと違って雪国なんだっけ。」
「そうだったわね…。体調崩さないようにね?」
「うん、大丈夫だよ。…多分。」
私は比較的、その土地に慣れるのが早い。
過度に変化しても、魔法をうまく使って慣らせるし。
…だから、向こうの生活っていうのはそういう意味じゃない。
「王族に戻るんだもんね。」
ピス姉はわかってるんだね、意味が。
「元姫から王女…ふふ、なんだか変な感じ。」
「やっぱりヤムもそう思う?」
「そりゃあね。元姫っていうのもなんだかしっくりこないわ。」
「えー、やっぱり?私も自分でそう思う。」
姫らしい姿を見せたことなんてほとんど無い。
自分でも、そういう役職に囚われないでいる方が楽だし。
「あ、でも。」
ピス姉が思い出すようにトンと手を叩く。
「時々だけど、仕事している時とかは姫っぽかった!」