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【マギ】幸せを願って。~亡国の姫~

第25章 出航準備、ラスト


セリシアSide


この部屋も、今日でお別れか。
自分の部屋に一歩入ってから何となく見渡したら、そんな思いが浮かんだ。

「食客になってから、ずっとお世話になったよな…。」

あれから一体どのくらい時間が経ったのかな。
一回、死ぬ覚悟でいたけど。
それ以外はこの部屋を手放してない。
最初は殺風景だった部屋も、ピス姉とヤム姉のおかげで物が多く…いやまあむしろ多すぎるくらいにはなった。

「忘れ物なんて、ないよね。」

クローゼット、タンス、棚、ベッドの下…。
どこにももう、何もない。
掃除は朝のうちにしてしまったから、ホコリだってないし。
唯一あるのは、机の上に紙と筆だけ。
これはこの国の物だからね。
シワのないベッドに腰掛けるのは気が引けて、普通に椅子に座る。
残ってる時間はあんまりない。
今までのことを思い出すには、時間は足りないなー。

「あっ」

余った紙を見て、やってないことを思い出した。
あんまり時間はないけど、少しくらいなら…。
そう思って、紙に筆を走らせる。
私からみんなへの手紙。
この先手紙を書いても、絶対に届く保証はない。
海を越えるのだから、当然だけども。
だから書こう、別れの手紙を。
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