第25章 出航準備、ラスト
セリシアSide
「セリシアー!!」
あれから2日。
やることが多くて、あっという間に過ぎていった。
シンドバッドさんのところに行ったり契約を交わしたり(王宮の機密を漏らさない等々。)、キユノ王国へ行く準備だったり挨拶回りだったり。
お世話になったからね、国民にも。
さすがに全部は回りきれないから、仕事で担当した地区なんかを主に挨拶なんかしたんだけど。
そして今、私はピス姉に抱きつかれていた。
「ピス姉…。」
「やっぱり悲しいよ。仕方ないのかもしれないけど、セリシアがいないなんて…寂しくなる。」
普段明るいピス姉にそう言われると、こっちは泣きそうになる。
でも、今はこらえたい。
せめて、船に乗るまでは…どうにか笑いたい。
「私もだよ、ピス姉。すっごい楽しかったもん。…忘れることはないからね、絶対。」
「私もだから!王女に飽きたらいつでもここに遊びに来てよ!」
「飽きたらって…。」
思わず笑ってしまう。
王女に飽きたらって、すごい発想。
それでこそ、ピス姉なのかもな。
「なんなら、ピス姉がキユノ王国に来てもいいよ。お仕事でも私生活でも、どっちでも。…期待は出来ないけど。」
「私が行くならジャーファルさんが行った方が嬉しいんじゃない?」
「なっ!!…そんなことないし。十分ピス姉で嬉しいし。」
…ジャーファルが来ることは、ないだろう。