第24章 決めた答え
セリシア SIDE
「…貴女が帰るというのなら。」
ジャーファルはそう言うと、私を抱きしめる。
驚いたけど、当然嫌じゃない。
むしろ私もジャーファルの背中に手をまわす。
「こうやって抱きしめることも、出来なくなりまさね。」
…安心する、この感覚も。
私が帰るということは、ジャーファルから離れるということだから、無くなる。
「…私、結構ハグされるの好きなんだよね。」
「そうだったんですか?」
「うん。安心する。…もちろん、ジャーファルだからなんだけど。」
他の誰でもなく、ジャーファルだから。
それはとっても大切なんだ。
「…そうなんですね。」
愛おしそうにそう言ってくれる。
簡単に離れたくなくて、しばらくそのまま。
無言で、抱きしめ合う。
2人共辛いのはわかってる。
だから、上手く言葉に出来ない。
「…私、ジャーファルのことが好きだよ。」
「突然どうしたんです?…そんなこと、知っていますよ。」
「そうだよね。でも、今しか言える時、ないなぁって。」
どうしてかわからないけど、今なら言える。
そんな気がしたんだ。
いつもは恥ずかしくて言えない言葉も、伝えられる気がしたんだ。
「…王女に、なるのですものね。私だけのセリシアでは、無くなりますからね。」