第22章 あっちの王とそっちの姫
セリシアside
「…それで、僕のところへ来たと。」
午前中は師匠の元で鍛錬。
その後シャワーを浴びて汗を流し、昼食後にカルマさんのところへ行った。
キユノの人でもシンドリアの人でもない、ウィリランデの人。
王だけどまあそこはしょうがない。
「はい。相談、受けてもらえませんか?」
嫌と言われればまあ諦めるつもりではいたのだけど。
「僕で良ければ。」
そう言って引き受けてくれた。
あんまりこの人にいい印象無かったけど、ちょっとは考え直すべきかな?
「ありがとうございます。…早速なんですけど、帰るべきなんですかね。」
「いきなりだね!?」
やっぱ?
わかってて言ってるんだよ、さすがに。
…っていうか、そうだ、この人こういう場ではタメだった。
「いやまぁ…それは貴女が決めることだろ?」
「はい。…私が帰ることで、キユノ王国に何が利益として出るのか。わかりますか?」
「…利益…。考え方は様々だと思いますが?」
そうだよね。
キユノ王国にもいろんな立場の人がいるし、一概には言えないよね…。
「まあ、そうですね…。安心か不安、どちらかは与えるでしょうね。」
「…どちらか。」
「さすがに何も与えないのは無理でしょう。…国で何を最初にするのか、どんな噂が流れるか。それ次第で、国民はそういった感情を受けるでしょう。」