第22章 あっちの王とそっちの姫
セリシアside
「…最初が大事ってことですよね…。」
「まあそうでしょ。失敗すれば不信感も抱いて、そのままなら国民は反乱をおこすだろうね。」
「国は終わりですね。」
それは絶対避けなきゃいけないことだ。
そうなるくらいなら、私が帰らない方がマシだ。
「逆に安心を与えられれば、少なくとも一時期は国は安定すると思うよ。」
キユノからきたあの人達はそれを望んでいるのだろう。
それを私に求めたのだろう。
デアルに妻や子供がいない今、正規後継者となってしまう私に。
「…まあ、貴女なら失敗はしないと思うけどな。それに、失敗してもすぐに信頼を取り戻しそうだし。」
「…そうですか?」
そうとは思えない。
きっとデアルはその辺うまかったのだろう。
だから国をもう一度開国しても、今まで国民とやってきたんだと思う。
「根がよくいう良い人、だろ?…まあ、信頼するかどうかは僕たちがきめることじゃない。…国民でしょ?」
…なんだろう、この人のドヤ顔。
言ってることはその通りなんだけどなんか腹立つよ?
って、そんなこと言っちゃダメダメ。
相談のってもらってる立場なんだから。
「ですねー…。」
「…まあ、それは決断してから考えても遅くないように思うけどね。」
「じゃあ、今考えるならなんだろう?決断のために考えることは…?」