第19章 姫と刀使いの戦い
セリシアside
「こいつのことは特に気にしなくて構いません。そのうち起きるでしょう。」
雑だった。
とにかくカルさんの扱いがぞんざいだった。
そのうちって、まあ急所は外してるけどさ?
「お疲れ様です、セリシア様。どうぞ。」
そう言ってセーカさんはタオルを差し出してきた。
「ありがとうございます。…このタオル、どうしたんですか?」
セーカさん抜けたの?
全く気づかなかったけど。
「ルマニアが持ってきたのです。上から見ていたらしくて。」
なるほど、それでタオルがいると思ったのね。
用意がいいってこういうこと?
「…お疲れ様です。勝利、おめでとうございます。」
「あ、はい…。ありがとうございます。気分、思ったよりも晴れました。」
戦闘に全力を注ぐから、どうでもいいことも大切なことも含めて頭をリセットできた。
…って言っても忘れたわけじゃない。
リセットというより整理がついたってとこかな?
「それは良かった。…先ほどのお話の時。セリシア様は、デアル様の王の素質に何か考えていませんでしたか?」
「…はい。」
確かに考えていた。
アイツが持っていて、私が持っていない素質。
…こればっかりは、今更どうこうできる問題じゃあないだろう。