第19章 姫と刀使いの戦い
セリシアの放った言葉はその場の全員に聞こえた。
(スキッ!!)
その言葉の意味を探す前に、カルは反撃を、勝つための最後の攻撃をだす。
スキを見つけた、そう思ったからだった。
「うぉりゃぁぁ!!」
勢いよく振りかぶる。
…が。
ブンッ!!
「!?」
確かに姿があったはずなのに、何故か手応えは全く感じない。
それどころか斬りにいった瞬間それは周りに溶けるように消えた。
ドンッ…。
「ッ!」
ドサ…。
鈍い音、それと同時にカルを襲う強い痛み。
身体はそのまま地面に倒れる。
「はぁ…はぁ…。」
カルの後ろに立つのはセリシア。
息も切れ切れにアイセを見る。
「一本!」
勝負は、セリシアの勝ちだった。
「勝っ、たぁ…。」
安心しながらも、すぐにしゃがみ込み、カルを見て言う。
「あの…大丈夫ですか?」
声は返ってこない。
カルは失神していた。
「…姫様、こやつは失神しておりますが、おそらくそれだけでしょう。」
すぐにそばに寄ったアイセは、安心させようとそう発した。
本当にそれだけかと心配になるも、アイセの次の行動に唖然となる。
「起きろカル。」
パンと頭を勢いよく叩く。
次に肩。
それでも起きはしない。
「…仕方ないな。」
そういうとアイセはセリシアの方を向いた。