第19章 姫と刀使いの戦い
「早いですね…。」
勝負が始まるやすぐにセーカは呟く。
本人はなんとなくでただけの言葉だったが、その声はアイセがひろった。
「そうですな。…しかし、無駄な動きがある。最初の踏み込みは強いがあれは無駄が多い。」
「ですが踏み込みは強い方がいいのではないのですか?」
「それはそうだが、無駄が多いとそれが隙に繋がる。」
そういうものなのか、とセーカは納得する。
戦闘に関しては何の知識もない彼女だ。
アイセの言葉は助かるものだった。
(ただ、無駄が多い割には隙がほとんど無い。今の連続の攻撃もそうだ。)
繰り出す攻撃は早いが見極めるのは難しくない。
ただ乱雑な振り方に違和感を感じていた。
セリシアの振りは無駄が多く感じるが、隙を見せない。
(何かあるのか…?)
「…私はセリシア様が武術をたしなんでいると知った時、とても驚きました。」
ふいにセーカは話した。
どういう意味かとアイセは一度考えたがすぐに返事をする。
「…それは私もですよ。姫が魔法使いなのは知っていましたが、武術もたしなむとは普通思わないでしょうから。」
「そうよね。でもね、驚いたのだけど会ってみれば納得もしたの。ああこの人はデアル様と似ているなって。」