第19章 姫と刀使いの戦い
2人、一歩も動くことなく相手の出方を伺っている。
しばしの沈黙を先に破ったのはセリシアだった。
「こないようなら、先に行きますねっ!」
強く踏み込み飛ぶようにカルに向かって走る。
「どうぞっ!」
ガンッ!!
カルが答えると同時に木刀同士がぶつかる音がする。
重い一発を放ったセリシア。
それを受け止めるカル。
(重っ!?)
(ちぇっ、止められるのか)
それぞれに思うことはある。
だが刀を交えてる2人だから同じことも思う。
((この人、できる!))
軽く押し返すカル。
一旦飛び退くセリシア。
しかしすぐに次の手にでる。
今度はさっきより軽く、でも早い速度で打ちに行く。
時に加える重い一発。
しかし辛くもギリギリでも避けるカル。
(…一旦引かねば。)
上手く反撃の一発を繰り出しそのスキを利用し後ろに下がるカル。
反撃の一発も軽々避け、しばしの体力回復をするセリシア。
(これで間合いはわかった。剣より長いからちょっと感覚違ったけど、もういける。)
「体力勝負でもするんですか?」
カルが呼びかける。
「まさか。…でも、意外と体力使ったでしょ?」
「それはそちらもですよね。」
(その通り。)
間合いの確かめ、力の入れ方、相手の動き…。
今の攻撃はこの木刀に慣れることを目的としたもの。
太刀筋が乱雑なため、受ける方も繰り出す方も体力を使うのだ。