第19章 姫と刀使いの戦い
「デアル様は一つの事柄に対する情熱がすごかったわ。魔法と国の事柄…特に民に関しては集中力もすごくて。…あの方は、遠くから見れば完璧な人だった。」
セーカはカルとセリシアの試合を見ながら、もっと別のものを見ているようだった。
「ですが近くでちゃんと見ればそんなことは全くなくて。…どういうわけか、急に子供っぽく見えることもあったの、失礼だけれど。」
「それは、わからなくもありませんな。…あの方は若いのに、王と言って違和感の無い不思議なものを持っていましたから。」
「でしょう?…セリシア様も似ていると思うの。会談の時と今ですごいそれがわかる。」
アイセはそれに同意はしなかった。
セーカは勘が鋭い。
そういうことに関しては国の中でも上位だろう。
「…姫様とカルを勝負させている理由を聞いてもよろしいですか、セーカ。」
「セリシア様、卑屈になっていたから。…自分は兄と違うって思ってるように見えたから。…セリシア様はセリシア様でいいところあるのに。」
「…それで勝負をさせる理由がわかりませんが。」
「あの人にセリシア様が剣技を好きな事を聞いてましたから。…それにあの人は剣技じゃ妹に勝てないとも聞いていましたからね。」
「それで、苦手なことも得意なことも人それぞれだと伝えたいのですか?」
無言の笑顔でセーカは頷いた。