第3章 王子来賓
セリシアSIDE
「あのー、ジャーファル・・・さん?」
仕事部屋についてドアを閉めながら声をかける。
呼びすてにしようかと迷ったけど、ヤム姉とピス姉が部屋の外で立ち聞きしてるのが気配でわかる。
からあえてさん付けしてみた。
ジャーファルさんは知ってか知らずか答えたのはさん付けだった。
「すいません、セリシアさん。ピスティの性格を忘れていました。」
「いえ、別に構いませんが・・・。」
でも今はこの会話を二人が聞いていることをしっているのかどうかで悩まされてる。
気づいてるのかなー・・・。
「別に私は知られてもいいんですけど・・・。」
「そうなんですか?」
「うん。・・・それに、そう表明すればジャーファルさんが誰かに取られないって安心できるし・・・。」
ジャーファルさんのファンはなかなか多いんだよ。
時々女官が話すのを聞いたことがある。
「それはこっちの台詞です。」
「え?」
「セリシアが誰かに取られるんじゃないかって何度も不安だったんですよ。」
また呼びすてに直った。
するとジャーファルさんは音もたてずドアに近づき一気にあけた。