第17章 キユノ王国一団
セリシアside
「…はい、なんでしょう?」
ちょっと深呼吸して、落ち着き直してから答える。
…客人の前では猫をかぶれ。
昔、確かお父さんに言われた言葉だ。
なんでこんな時に思い出したのかわかんないけど、懐かしい。
猫かぶっておけば相手は悪い気になりにくいって話だったと思う。
…まあ、今更なんだけど。
「セリシア様にお願いがあります。」
そういえば。
「手紙にもそう書いてありましたね。」
私にお願いあって、それについてもキユノ王国の一団が話すこと。
あと、いい返事を期待する…みたいなこと。
願いってところに、何かあるんだなーって思う。
多分本当は命令に近い…というか命令したい思いなんだろう。
デアルが先に手をまわしておいたってとこかな。
姫として私を縛らないようにしてただろうから。
「ええ…。貴女様にしかお願い出来ない内容なのです。」
「…姫にしか、という意味ですよね?」
「はい。」
まあそうだよね。
デアルの家族は私しかいない。
まあ彼女がいるならアレだけど、そんな報告は来てないし、つまり少なくとも籍は入れてないわけだ。
だとすれば王のいない今、唯一のキユノ王国の王族である私に何の話もかからないわけがない。
…命令の形ではないとはいえ、私に出来ることならやっぱりなんとかしたいな…。