第17章 キユノ王国一団
セリシアside
「ルマニアは優秀な侍女です。ですが侍女としてだけでなく、文官の1人としても優秀です。」
侍女であり文官である。
兼任させるんだ、デアルは。
別にそれが悪いって思ってるわけじゃなくて、むしろそれが可能ならとても良い選択な気がする。
言い方は良くないけど、優秀な人材はフルに活用すべきだろう。
「ルマニアとお呼び下さい。」
微笑んだその顔は、セーカさんと同じ年代に見える。
けれどセーカさんよりも優しい柔らかい雰囲気があって、身長もセーカさんより低めだ。
「アイセとカルは武官です。アイセは剣使いで国でもトップレベルの兵です。カルは刀使いでまだ新米ですが素質は十分だとの評価を得ています。」
「アイセです。貴方様のお兄様であられるデアル様を救うことができず、誠に申し訳ありません。」
「カルです。申し訳ございません。」
2人して頭を下げる。
…救えなかったのは、2人だけじゃないのに。
「頭を上げてください。詳細のつかめていない今、私はあなたがたに何かを言うことはできません。」
まあ、よほどの内容でなければ責めることはないけれど。
本当に悲しい話なのだけど、仕方ないことだってある。
自然に逆らうことは容易ではないのだから。