第16章 異変…?
セリシアside
嘘つきだ。
いやまあ、嘘じゃないかもしれないけど、本当のことでもない。
「気遣ってくれるのは嬉しいけど、あんまり無理しないでよ?…結構前の話だけどまた倒れられても困るからね?」
まああの時とは違って呪術なんていう面倒くさいのはないと思うけどさ?
「そうですね…あの時は大変でしたよね。」
苦笑いを浮かべるジャーファル。
思い出してるんだろう。
「そうだよ…。まあ責任の一端はうちら兄妹にあるけど…」
そのことを思い出して、語尾が小さくなった。
あの時は大変だったけど、それはちゃんと思い出の一つとして残ってる。
兄妹と妖精で家族の仇討ちを成し遂げて、でもそのせいでジャーファルが死にそうになって。
…ああ、そっか。
よくよく考えてみれば、私あの時死んでたかもしれないんだ。
「…でも、助けてくれたのはセリシアじゃないですか。あの時あなたが呪を消してくれなかったら私は死んでいたでしょうから。」
「でもそれで魔力切れを起こしてそれを救うキッカケをしたのはジャーファルじゃん。それに別空間にあった私の魂を助けに来たのもジャーファルだよ。」
いろいろあったな。
決して楽しかったとは言えないけれど、ちゃんとやり遂げられた。
もしも人生に試練があるなら、あの一件は試練以上の試練だっただろうな。