• テキストサイズ

【マギ】幸せを願って。~亡国の姫~

第15章 手紙


ジャーファルside


だから彼女がキユノ王国に帰るだなんて、そんなはずがない。
そう信じたくて、でも心の片隅ではそれがあっちにとっては一番いいと思えて。
…でもそんな思考は、セリシアによって中断された。

「セリシア?…セリシア!?」

彼女の体がグラグラと揺れ始め、彼女は耳を塞ぎその場にしゃがみ込んだ。
…そうか、耳鳴りか。
経験したことはある。
日常生活でも聞こえるような生易しいものではなくて、かなり辛いものだ。
こうなると、耳鳴りがおさまるまでは何を言っても聞き取りにくい。
聞き取ろうと必死になると余計辛くなるのだ。

「おい、大丈夫なのか?」

「おそらく耳鳴りかと。」

シンも手紙から顔を上げ、ギョッとした表情で机から身を乗り出す。
答えれば、どこか疑問を浮かべた顔。

「あなた健康そうですもんね。」

「どういう意味だよっ!?」

耳鳴りの辛さを知らなさそうということです。
…そんなことより今はセリシアだ。

「…セリシア、部屋に戻りましょう。」

タイミングを見計らって声をかける。
耳元で、ちゃんと聞き取れるように。
/ 369ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp