第15章 手紙
ジャーファルside
王宮に手紙が届いたのはセリシアが兄と妖精のことで一騒動起こした約一カ月後のこと。
本人は隠してるつもりなのかもしれないけど、はっきりいってバレバレだった。
そんな彼女を見ているのは辛いものがあって、でも私にはどうしようもない問題で。
せめて、の思いでキユノ王国に関する情報を集めて、なんてしているときだった。
「…これは?」
剣術の稽古の途中で呼び出し、シンが手紙を渡す。
先に見ることをしないで最初に本人に見せることに決めたのは、2人で話し合った結論だった。
「キユノ王国から来たんだ。」
シンが一言そう言うだけで、その場の空気が変わったように見えた。
…セリシアの顔が強張っている。
緊張、してるのでしょうね。
「…。」
彼女はシンの顔を見て、次に私の顔を見て。
頷いて見せれば、彼女はもう一度手紙に視線を戻し封を開けた。
キユノ王国から手紙が来るだなんて、初めてのことだった。
その内容が何かはわからないけれど、良くない内容ということは嫌でもわかった。
そう感じたのはシンも同じようで。
…それくらい、彼女は呆然としていたのだ。
信じられないとでもいうかのような顔を手紙からあげた。