第15章 手紙
セリシアside
もしも海路で何かがあったなら…それはすなわち、海に落ちたとでも?
海になんて、そんなのはもう…。
…だめ、耳鳴りがする。
キーンって、支配されて。
他の音が何も聞こえない。
誰かが何かを言ってる気がする。
でも誰なのかも判別できないし何を言ってるかもわかんない。
辛い、立ってらんない…。
「…セリシア、部屋に帰りましょう。」
その場にしゃがんでしまった私に、ジャーファルは私の肩を抱いて耳元で落ち着く声で言う。
なんとか聞き取ることができた。
耳鳴りがおさまっていく。
「そうしなさい。…落ち着いたらもう一度おいで。」
シンドバッドさんもそう言ってくれる。
王様にまでこう言わせるなんて…。
迷惑かけてすみません。
でもその配慮はありがたい。
「ありがと、ございます…」
途切れ途切れになったけど、なんとか言えた。
「喋らなくていいですし、立てるまで待ちますから…」
ジャーファルは私が無理して喋ったことにちゃんと気がついたみたい。
喋るのも辛いんだ。
だからその配慮はとてもありがたいんだよね。
…もう少しだけ、このまましゃがませて。
まだ少しクラクラしてて、立ち上がれないんだ。
もう少しなおったら、そうしたら部屋に戻って休むから。