第14章 誘拐
セリシアside
「…それで?まあ予想はついていますが…どうして抜け出したんです?」
説教がようやく終わり、正直ちょっと眠くなってきた時にジャーファルは質問をする。
予想はまあ、そりゃつくよね。
けどね?
「…なんで、だったかな。」
覚えてなかった。
ああ、でもそうだ。
「たしか、じっとしてられなかったんだよ。自分が不甲斐なさすぎて、嫌でしょうがなくて。」
動いていようと動いていまいと何も変わらないのにね。
それだけ動揺してたんだね、私。
「…今は、どう思っていますか?」
この質問には、ちゃんと目を見て答えなくちゃ。
そうするのが一番いい気がして、少し落としていた視線を上げる。
「…デアルとシロナがどうなってるのかは分かんないし、正直心配だよ。自分の不甲斐なさを感じてもいる。…家族がいなくなったことが寂しいんだよ。結局は独りが嫌なんだよ。」
ちょっと泣きそうだったけど、そこまで言うことはできた。
ジャーファルは黙って聞いててくれる。
「…でもね。私独りじゃなかったから。ジャーファルがいるって気付けたもん。だから…大丈夫だよ。全く寂しくないわけじゃないけれど。…帰れるよ、王宮に。」