第14章 誘拐
セリシアside
「セリシア…大丈夫…ですか?」
どこか引きつった笑みを浮かべながらジャーファルの胸に寄りかかってる私に彼は言った。
「…無理です、ホントに…」
どこが大丈夫なものか…。
寄りかかってるというより倒れ込んでるって言った方が正しいかもしれない状況だよ??
「すいません、やりすぎました…。堪えきれなくって。」
堪えきれなくって、じゃないよー!
反論するのも疲れてジト目で見やる。
深い方のキスは息が辛いから長くやると酸欠っていうか、つまり苦しい。
だからっていうか…。
骨抜きっていうの?
とにかく無理です、ジャーファル…。
「…そろそろ、帰りますか?」
「…王宮に?」
そういえば、私誰にも何も言わないで王宮出てきたんだよね?
忘れてたけど。
「ええ。…と、その前に言っておかなくてはいけませんでしたね。」
あー、やっぱお説教??
「まあもうわかってるでしょうけど。セリシア、絶対に王宮を勝手に抜け出さないでください!体調が万全ならまだしも、なんでこんなにズタボロな時に抜け出すんですか!?」
おっしゃる通り過ぎて何も返せないよ…。
確かに、もうフラフラ。
これ、明日丸一日寝てるかもねー…。
あはは…。