第14章 誘拐
セリシアSIDE
ガンっっ
すごい衝撃音が聞こえて、思わず音のした方を見る。
・・・何の音?
ガシャンっ、ガチャガチャ・・・。
何かが崩れ落ちるような音も聞こえる。
外で何が行われているのか全く分からない音。
必死に地面を這って音のする方の壁による。
耳を当てて、少しでも外の様子を知りたかった。
できることなら、みんなのもとに帰りたかった。
「・・・ろ・・・やめ・・・」
誰かの声が小さく聞こえる。
・・・何が起こってる??
わからないけど、誰かいることは間違いない。
・・・あ、気配察知すればいいんだ。
気配を察知できるのにここで使わないでどうする。
「・・・は?」
間違いだろうか。
今の自分の感覚を頼っても、信じてもいいのか?
・・・そこにあった気配は、複数の人。
ほとんど知らない気配なんだけど、その中でたった一つだけ。
たった一つ、見慣れてる、いつもそばにいたあの気配があった。
「・・・ジャーファル・・・?」
そんな、まさか。
でもあの気配は彼のものだろう?
私が・・・あの人の彼女でもある私が、彼の気配を間違えるとは思えない。
というか思いたくもない。
・・・ジャーファルなの?