第14章 誘拐
ジャーファルside
「わかった。任せよう。」
「ありがとうございます。」
そうと決まれば。すぐにでも探さなくてはいけない。
セリシアはなかなか有名なのだから、見た人がいれば覚えているはずだ。
副政務官だし、まだ年齢的にも若すぎるのに戦争の時には国を守ってもいるのだから。
「ジャーファル。セリシアをちゃんと連れ帰ってこいよ。」
「もちろんです。」
おそらくシンは、食客として彼女を心配しているのだろう。
でも、それでも・・・いえ、そんなことは関係なく彼女を助けなければ。
・・・それにしても、彼女が誘拐されるとは・・・。
王宮に忍び込んだか?
それとも、セリシアが自力で王宮を抜け出していたのか?
後者の方が可能性は高い。
門番だって誰にでも侵入させるような存在ではない。
だがセリシアがもしも魔法を使っていたのなら。
魔法で姿を消していたのなら。
魔法使いでもない彼らにそれを見ることはできなかっただろう。
・・・でもそうだとすれば。
何故外に出た?
どうしてじっとしていなかった?
「・・・馬鹿。」
連れ帰ったら、怒らなくては。
彼女がどんな気持ちだったかなんて私にはわからない。
それでも、叱らなくてはならない。
それが、彼女のためになるはずだから。