第14章 誘拐
ジャーファルside
「…はあ!?」
思わず叫んでしまった。
理由?
そんなのは簡単だった。
「どこいったんですセリシアっっ!!」
ぐっすり寝ていて起きる気配は見えず、仕事もあったから食事を置いてわりとすぐに部屋をでた。
けれど、仕事をいくらか終えて…大分時間は経っていたけど見に行った。
そうしたらだ。
「すいません、セリシアを見ていませんか。」
「いえ…。私は見ていませんが…。」
この通り、女官に聞いても全く居場所はつかめなかった。
まだベッドは少し温かかったから、時間はそう経っていないと思うけれど。
「魔力切れを起こしたばかりなのに…!」
そんな人間がそう簡単に動けるとは思えない。
いくらぐっすり寝たとはいえ、そう簡単に魔力が戻るもの?
もちろん処置はしていましたし、少し動く程度ならできなくもないでしょうけど。
少なくともそう遠くに簡単に行けるとは思えない。
だというのに、彼女を見た人は誰もいなかった。
少なくとも近辺には。
「まさか…外には行っていないでしょうね…。」
王宮を出るには門を通らなけれればならない。
でも門には門番がいる。
…いや、セリシアが魔力切れを起こしたのを知っている人はほんの数人しかいないのだから通れないことはない、か…?