第14章 誘拐
セリシアside
「はー…。」
王宮を無事抜け出し、隠れたところで一息つく。
緊張した…。
集中して気を巡らせ、自分の気配を消して。
誰かに姿を見られることがないよう、必死だった。
体は重かったけど、魔力切れの影響だろう、これは。
なんとかなった。
まあ、門の上をこえるために一回魔法は使ったけど。
誰にも気付かれないでいけた。
「…でもどこ行こう。」
声に出したところで何も変わらない。
行くあてなんてない。
もう一度、朝行った場所に行こうか?
…でももう意味がないでしょ。
「…いいや。」
散歩しよう。
一度自分の部屋に寄って服を変えたから、血がついて目立ってた服じゃない。
だから誰かに何か言われることはないだろう
「…ねえ?」
そう思ってたのに。
どういうわけか、しばらくは普通に歩いていたのに。
突然声をかけられた。
「なんでしょう?」
声をかけてきたのは男の人。
「あの、セリシアさんですか??」
…なんだこの人。
突然声をかけてきて、人の名前言い当てて。
王宮にこんな人はいなかったはずだし、私を探してるわけじゃないだろう。
「…だとしたらなんでしょう?」
「すいません、ちょっとこっちに来て下さい。」
何かトラブルでもあったのかな。
一応戦争の時この国を表だって守ったし、私を知っててもおかしくなかったか。