第12章 嫌な予感
ジャーファルSIDE
「セリシア?来ていませんけど・・・。どうかしたのですか?」
ヤムライハのもとへ行ったが、無駄だった。
彼女も今日はまだ見ていないというし、一緒に居たピスティも同じだった。
「セリシア、シャルルカンのところじゃないの?」
「いえ、シャルルカンのところにはいませんでした。彼も見ていないそうです。」
「部屋で寝ているとかは?」
「行ってみました。ですが靴はあったんですけど、本人の姿はどこにもなくて。」
どこへ行ったというのだ?
王宮の女中にも聞いたが、誰一人として今日彼女の姿を見た者はいなかった。
そして誰からも見たという報告をもらえていない。
一体どういうことですか・・・?
「何かあったのかな・・・。誘拐された・・・とかはないか。」
「セリシアは強いしね。魔法も使えるのだし、それはないとおもうわ。」
「そうですよ、ピスティ。第一何の要求も届いてませんから、それはないと思います。」
というか、そう信じたいだけだ。
それに確かに昨日の夜まではいたのだ。
王宮内で誰にも気づかれずに誘拐するのは至難の技だろう。