第8章 お仕事であって初デートです。
セリシアside
「そうだ、帰る前に。」
既に王宮に向かってはいたけど、突然ジャーファルは立ち止まった。
「セリシアに渡したいものがあります。」
「渡したい物?」
なんだろ。
別に王宮でいいような気もするけど。
あっちじゃ渡せないのかな?
「王宮じゃ周りがうるさくなりますから。」
「あれ、わかった?」
「ええ。さ、セリシア、手を出して。」
よくわからないけどとりあえず手を出す。
幸いというかなんというか。
私も彼も荷物は少ないから手を出すことにためらいも何もなかった。
「これどうぞ。」
そう言って私に渡した物…。
それは、ちょうどというか、タイミングがよすぎるというかで…。
まあつまり、欲しい物、だった。