第6章 迷いと決意
セリシアSIDE
パタン・・・。
部屋に何とかたどり着けた。
ドアを閉めて、そのまま崩れ落ちる。
「・・・っ・・・。」
泣くもんかって思ってたのに。
あっけなく涙はあふれてくる。
泣いちゃいけないって思うほど涙は出てきて。
だからもう・・・泣いていいかな・・・?
鼻をすする音と自分の嗚咽が聞こえる。
ジャーファルが、あんなこと言うなんて思ってなかった。
ジャーファルが、あんな悲しい顔するなんて知らなかった。
ジャーファルが、私を厄介払いしたいって初めて知った。
ジャーファル。
大好きな人。
初恋と呼べる人。
復讐の念から、解いた人。
私を、異次空間から助けに来てくれた命の恩人。
「・・・ジャーファル・・・。」
でも、もう終わったんだよ。
大好きな人。
「・・・言ってないや・・・。」
ありがとうって、言ってなかった。
少しの間でも、好きになってくれてありがとうって。
言うべきだったかも・・・な。