第10章 奔放な我慢
「だが、意外だったな。」
「……何が?」
「さっき凛が言っていたことだよ。」
エルヴィンの複雑な表情を見て、
私が暴露したことについて
言っていることが、すぐわかった。
「……ああ。そうかな。」
バツが悪くなり、エルヴィンから視線を逸らす。
「君は少し顔を近付けただけでも
赤面していたから、
てっきり男慣れしていないんだと思っていた。」
「……いや、エルヴィンほど
顔の整った男の人に近付かれたら、
誰でも赤面するよ……」
正直に答えた後、小さく息を吐く。
エルヴィンに携帯電話を覗き込まれた時、
端正な顔立ちを目の前にして
赤面したことは鮮明に覚えている。
ここまで容姿端麗な男性に
出会ったことなんてないから、
赤面してしまうのも自然なことだろう。