第10章 奔放な我慢
食卓のある和室で、
掃除の分担表を作っていた時、
「凛。
風呂掃除は済ませておいたが、
しても良かったのかな?」
と、部屋の入り口から声を掛けられ、
後ろを振り返る。
「エルヴィン。
ありがとう、助かるよ。」
昨日もそうだったが、
エルヴィンは何かと気が利く。
まるで私のして欲しいことを見透かし、
先回りしてやってくれているようだった。
きっと元の世界でも、心配りの出来る
素敵な団長をしていたんだろう。
エルヴィンは私の横に座り、
掃除の分担表に目を向けた。
「……色々負担を増やしてすまない。
掃除以外でも力になれることがあったら
何でも言ってくれ。」
「大丈夫。料理も洗濯も好きだから。」
これは嘘じゃない。
むしろ料理に関しては、
ありがたいくらいだった。
一人分だけ作って一人で食事をするのは
やっぱり味気ない。
誰かが一緒に食事をしてくれるのは、
自分にとって嬉しいことでもある。