第9章 ルール
「……その人は男なのか?」
エルヴィンはそっちに興味があるのか。
“彼”のことを一瞬思い浮かべ、片頬が緩む。
「うん。幼馴染。
今は博物館で学芸員をしてるんだけど……」
聞き慣れない言葉だったのだろう。
エルヴィンは曖昧な顔で腕を組んでいる。
「取り敢えず研究熱心で相当な変わり者だから。
それを前提で会ってくれないと、
ビックリするかも。」
「……研究熱心で変わり者、か。
俺たちの居た世界にも、そんな奴がいるな……」
「……そうだな。
だが、さすがにそれ以上ではないだろう。」
二人は小さく頷きながら話をしている。
どこの世界にも
変わり者はいるもんなんだな。
それでも、“彼”ほどの人物に、
私は今まで出会ったことがない。
「取り敢えず今のルールは守ってね。
掃除の分担は私が決めとくから。」
そう言って二人に笑いかけ、部屋を後にした。