第59章 夜空に咲く、大輪の花
火口君が教えてくれた穴場は、
花火大会の会場から少しだけ離れた、
小高い丘の上にある小さな公園だった。
公園の入り口は狭く、
公園内は雑草が生い茂っていて
確かに他に人が来そうな場所ではない。
でも、花火を見る位置としては
最適なポイントだ。
どうも頼りなく見える
耐久性のなさそうな低い柵に控えめに手を掛け、
空を見上げた。
「……よし。
これで賭けに勝つ準備は整った。」
思わず小さく呟くと、
右隣に立つリヴァイがフッと息を漏らす。
「まだ分かんねぇだろうが。」
「いや。分かるよ。リヴァイは驚く。」
「二人は何の話をしているんだ?」
エルヴィンの不思議そうな声が
左隣から聞こえた次の瞬間、
大きな炸裂音と共に、
巨大な花火が夜空を舞った。