第59章 夜空に咲く、大輪の花
「ハンカチだけじゃ、間に合わないな……」
何か替わるものはないか……
と思い、辺りを見回すと
少し離れた位置に、輪投げの屋台が目に入った。
「あ。あそこなら景品の中に、
タオルとかティッシュとか
ありそうな気がする。」
「……わなげ?何をするところなんだ?」
水に濡れた浴衣の袖をパタパタと
はためかせているエルヴィンは
屋台ののれんに書いてある文字を読んで
首を傾げる。
「簡単に言うと、輪を景品に投げ入れる遊び。
取り敢えず、景品の中に
タオルなんかがないか見て来るよ。」
「待て。俺も行く。
エルヴィンを濡らした責任は
俺にあるからな……」
「リヴァイはこんな時でも責任感が強いな。
それならよろしく頼むよ。」
そう言って水で濡れた髪を
掻き上げるエルヴィンからは、
官能的なフェロモンがムンムンと湧き出していて
早いところ拭かなければ、また人が集まる……
そう思い、リヴァイを連れて
輪投げの屋台へ急いだ。