第59章 夜空に咲く、大輪の花
範司と火口君に見送られ、
バスと電車を乗り継いで
花火大会の会場へ向かう。
どう足掻いても、浴衣姿の二人は注目の的で、
私も必然的に視線を浴びることになるけど、
もうこの羨望や違和感、
嫌悪を帯びた視線にもかなり慣れてきた。
擦れ違い際に傷付くような一言を
投げかけられたことはまだないから
「絶対傷付きません!」と、
言い切ることは出来ないけど、
少なくとも以前よりは傷付かない程に
強くなった自信がある。
それは二人と過ごさなければ
強くならなかった部分でもあると思う。
人より弱いと思っていたメンタルも、
きっと人並みくらい……
いや、それ以上には逞しくなっている気がした。