第59章 夜空に咲く、大輪の花
その頃、三人を見送った範司と火口は、
火口の運転する車で職場へ戻る最中だった。
「……範司さん。」
「なに?」
「……ほんとに、良かったんですか……?」
火口は正面から一切視線を逸らさないまま、
呟くような声量で範司に問いかける。
「それって凛のこと?」
「……はい。」
範司は火口の頭をくしゃくしゃ撫で、
「火口は私のことをよく分かってるけど
心配性すぎるね。」
と、小さく笑った。
「良くはないけど、良かったんだと思う。」
「……どっちですか?」
火口の的確なツッコミに
範司はまたクスクスと笑う。