第58章 浴衣の効果
そして、花火大会当日の昼過ぎ。
いつもの様にテンションの高い範司と
大きめの段ボール箱を抱えた火口君が
我が家に訪れた。
「凛!いいもの持って来たよ!!」
居間に入るなり、嬉しそうに声を弾ませる範司。
火口は段ボール箱を部屋の中心に降ろし、
「これ、うちの博物館の館長と、
館長の奥さんからのプレゼントです。
受け取って下さい。」
と、箱の中身を開けた。
箱の中には、
きなり地に不規則な縦縞が織り込まれた
清潔感があって爽やかな雰囲気の男性用浴衣、
黒地にシボの入ったシックで渋めの男性用浴衣、
そして薄ピンク地に古典菊と桜が散りばめられた
女性用浴衣。
その三着が綺麗に畳まれて入っていた。