第57章 迫るタイムリミット、託された決断
エルヴィンの乱れた髪を見るだけで
少しばかり心拍数が上がるように
なってしまったのは
風呂上がりのエルヴィンに
迫られることが多かったからだろう……
もう欲求不満では断じてない筈なのに、
この二人と生活を始めてから、
いつでも簡単に欲情体制が
整うようになってしまった。
「凛、その雑誌は?」
エルヴィンに問いかけられ、
自分に呆れて漏れかけたため息を呑みこむ。
「ああ、花火大会の日程が書いてある雑誌。
5日後に範司の職場の付近で
花火大会があるみたい。」
「連れて行ってくれるのか?」
「もちろん。」
すぐにそう答えると、
エルヴィンの嬉しそうな顔が目に留まった。
その顔を見て、感情が高ぶりそうになるが
もう一つ、
二人に伝えないといけないことがあり、
それを考えると弾みかかった心は、
一気に静かになる。