第57章 迫るタイムリミット、託された決断
家に着いて、エルヴィンが風呂に入っている時、
範司に渡された一冊の雑誌を開く。
「凛、それは何だ?」
「範司からもらったの。
花火大会の日時が書いてある雑誌。」
リヴァイに声を掛けられ、そう答えながら
雑誌をリヴァイの方へ向けようとするが、
ハッと思い立って、すぐに雑誌を閉じた。
「……何の真似だ?」
「この雑誌、花火の写真も載ってるから。
花火大会で見る花火が、
一番最初に見る花火の方が
感動すると思わない?」
怪訝そうな表情を
浮かべているリヴァイに問い返す。
「お前は俺の初めてを
徹底して守る傾向があるな……」
「リヴァイの驚く顔が見たいからね。」
即答すると、リヴァイの頬が緩んだ。
車の中では眉間に皺を寄せっぱなしだったから、
少し安心感を覚える。