第56章 範司と火口
「でも、凛も
満更でもない様子だったから大丈夫。ね?」
範司に話を振られ、
「うん。私も火口君、可愛いと思う。」
と、すぐに答えると、
火口君の頬はみるみる内に紅潮してくる。
……なんだ、この可愛い生き物は……
ウブな反応をされるのが、
こんなに楽しいとは思わなかった。
「お前ら、いい加減モブリットを
からかうのは止めろ。」
「……リヴァイ、
やっぱり火口君には優しいよね。」
呟くようにリヴァイの発言に口を出すと
「えっ、リヴァイも火口に気があるの?!」
範司は少し興奮したような声を上げる。
「んな訳ねぇだろ。俺は男に興味はねぇ。」
「でもそれにしては、
火口君とすごく仲良しじゃない?」
つい口を挟むと、
リヴァイの鋭い三白眼がこっちを向いた。
「も、もう俺の話はいいです!!
映画観ましょう!!!」
火口は声を張って会話を中断させると、
すぐさまテレビのリモコンを手にし、
音量を上げた。