第56章 範司と火口
次の日が全員休日ということもあって、
その日のうちに火口君の家で
映画鑑賞会をすることが決まる。
昼食を済ませ、範司の車に先導されて、
火口君の住むアパートへ向かった。
火口君の部屋は、
男性が一人で住んでいるとは
思えないほど綺麗で、
いかにもリヴァイが気に入りそうな、
仕訳カゴで丁寧に整理整頓された棚が
印象的だった。
「火口君、男の一人暮らしなのに、
そんな雰囲気を全く感じさせない部屋だね。」
「そんなこともないですよ。
実際押入の中とかごちゃごちゃですから。」
「いや、押入の中も収納容器や
ひな壇型の収納棚を利用して、
上手く整頓されていた。」
「……いつの間に見たんですか……」
突然会話に入って来たリヴァイの一言に、
火口君はため息を漏らした。