第55章 今現在の決断

「凛は幸せ者だね、
こんなに愛されて。」

範司はニヤニヤ笑いながら
凛の肩を叩く。


「まぁ、私は凛が二人の世界に
付いて行くにしても、行かないにしても
ずっとどっちかを選ばないで
楽しんでもいいと思うけどね。」


「……範司。
突然何を言い出すつもりだ……」

エルヴィンが小さくため息を吐くと、

「だって、多分二人の世界に行ったら、
凛は他の男からも人気が出る気がするし。
選択肢だって増えるんじゃない？」

範司は呆気らかんとそう言って
凛に視線を向けた。




「私はまだ二人の世界に付いて行くって
決めたわけじゃないしね……」

範司の視線を感じながらも、
目を逸らしたまま答える。



第一、その問いを私にされても困る。


今のようなモテ期が来たこと自体、
生まれて初めてなんだから、
そんな予測が出来る訳がない。