第54章 安息の時間
凛を抱き寄せたまま、いつの間にか
眠りに就いたリヴァイは、
それから数時間後、目を覚ました。
凛はまだ自分の胸元に収まっていて、
小さく寝息を立てている。
そっと髪を撫でてみるが、
特に何の反応もない。
爆睡しているんだろう。
ふと、枕元の時計を見ると、
自分が5時間は寝ていたことに気付いた。
こんなに寝たのは何年ぶりだ……?
この世界に来て、確実に平和ボケし始めている。
それは俺に限ったことではなく、
エルヴィンも同じだろうが
この状態で元の世界に戻ることは
危険でしかないだろう。
だが、この安全で溢れている世界で
凛と一緒に過ごしている限り、
自然と湧き上がってくる穏やかな安心感は、
消え去らない気がした。
だからと言って、凛と離れて
生活することは考えられない。
凛を一人にするのは
まだ不安でしかない上に、
自分自身、元の世界へ戻る直前まで、
凛の側で過ごしたいと思っていた。