第7章 得意なことは秘密なこと
「ありがとう。
君には本当に世話になりっぱなしだな。」
「そんなことないよ。
今日はたくさん働いてもらったし。」
そう言いながら、ここに越して来た時より、
……いや、おじいちゃんが
ここに住んでいた時よりも
明らかに綺麗になった部屋を見渡した。
「掃除くらい、いくらでもやってやる。
あんな便利な道具があれば、楽に出来るしな。」
リヴァイは掃除の話をする時、
心なしか声のトーンが明るくなる。
本当に綺麗好きなんだな……
「なら、俺は凛に
何を返せばいいだろう。
掃除も料理も、あまり得意ではないんだが。」
エルヴィンが目を瞑り、
腕を組んで考え込む姿は
普遍的な美をもったギリシャ彫刻のようで、
自然と目が吸い寄せられる。