第50章 全ての暴露
「……でも実際はもっと泥沼だったよ。
何せ、両親共に不倫してたからね。
私が不倫って言葉の意味を知った頃から
既に家庭内別居状態だったけど
お互い、“先に不倫したのは相手の方だ”
って言い張ってたから
多分同じくらいの時期に
不倫し始めたんだろうね。」
……確かに想像していた以上に泥沼だ。
凛は心底呆れたような表情を
浮かべている。
「それなのにお前の親は離婚しなかったのか?」
「二人で会社を経営してたから。
しかもそこそこ立派な会社で、
お互い、自分の立場を守るためには
離婚はできなかったみたい。」
「仕事の為に離婚はしないが、
家庭内は崩壊してた、ってことか。」
「そう。
……だから痴漢にした説教は、
そんなことしてたら、泥沼になるのは
あっという間だよ。っていう忠告だね。」
「俺には、忠告と言うより、
あの男を諭しているように聞こえたが。」
そう言って凛に視線を向けると、
困ったような表情が目に入った。