第6章 三白眼の興味
「すいません……
起きたばかりで、
まだ完全に体調も回復していないのに……」
「体調は問題ない。
それより掃除道具を出せ。」
もう一度掃除道具の催促をされ、
下駄箱脇の物置から、急いで掃除機、モップ、
液体の中性洗剤を取り出す。
「取りあえず、これがあれば掃除はできる……
と、思います。」
彼からの鋭い視線を受け、思わず口籠った。
「……おい、これは何だ。」
「あ。これは掃除機って言って、
埃や小さなゴミを
吸い取ってくれる道具です。」
「……吸い取る?」
彼の目の色が一瞬変わる。
興味があるのか?
そんなに掃除が好きなのだろうか。
「ちょっと使ってみましょうか。」
私は玄関脇のコンセントにプラグを差し込むと、
掃除機のスイッチを入れる。
ファンが回る大きな音と同時に、
エルヴィンと彼の身体が小さく跳ねた。