第44章 欲
「そんな不満気な顔をするな。
俺と二人きりは嫌か?」
エルヴィンに肩を小突かれて、
自分の眉間に皺が寄っていたことに気付き、
長い瞬きをする。
「二人きりは嫌じゃないけど、
何でいっつも私は二人の話しの輪の中に
入れてくれないの?
なんか淋しいんだけど。」
「君に聞かせることが出来るような
話ばかりをしている訳じゃないからな。」
「……私に聞かせられない話ってどんな話?」
「聞かせられないんだから、
言える筈がないだろう。」
当たり前の様に言い放たれ、
結局納得のいかないまま、
観覧車乗り場に向かった。