第44章 欲
珈琲専門店を後にして、
エスカレーターを降りようとしたところで
エルヴィンに腕を引かれて立ち止まる。
「凛。あれに乗りたい。」
エルヴィンの指の先にあったのは、
このショッピングモールのシンボルでもある
観覧車だった。
「ああ、そっか。
夜景見たいって言ってたもんね。」
外は薄暗くなってきていたので、
今観覧車に乗れば
高層ビル群のネオンが綺麗に見えるだろう。
「……でも、そろそろ帰らないと
リヴァイが淋しがらないかな?」
観覧車乗り場に設置された時計を確認すると、
夜の7時を過ぎたところだった。
リヴァイの仕事はそろそろ終わる頃だろう。
それを考えると、
少しでも早く家に向かった方がいい気がした。