第42章 甘い文字
映画が終わったと同時に、
トイレへ駆け込む。
“処理”を終わらせ、
トイレの前で待っていた
エルヴィンの横に並んだ瞬間、
「……凛。怒ってるのか?」
と、不安そうな表情で顔を覗き込まれた。
映画の上映が始まって
数十分しか経っていない段階から、
あれだけ暴走してたくせに……
暴走している時は、
本当に本能のまま動いているのかも知れない。
上映中はかなり困惑しつつ、
欲情させられていたけど
こうして心許ない表情を浮かべる
エルヴィンを見ていると
自分に素を見せてくれているような気がして、
嬉しくも感じた。