第42章 甘い文字
エルヴィンの優しい表情が
目に留まった次の瞬間、
暖かくて柔らかい感触が唇に伝わる。
唇を撫でるような穏やかなキスなのに、
心臓は忙しく働き出した。
長い時間、優しいキスを繰り返され、
全身が火照ったような感覚が身体を疼かせる。
エルヴィンはそっと唇を離すと、
凛の手を取り
再び手のひらに文字を書き始めた。
『 き み に き す を
し た く な つ た 』
文字を読み取った後、
再び顔に血液が集中してくる。
……急に映画を見始めたのは、
これをしたかったからか?
そっとエルヴィンに視線を向けると、
嬉しそうにも困ったようにも
見える表情が目に留まり、
自然とエルヴィンの腕を引き寄せて、
近付いた唇に唇を重ねた。