第42章 甘い文字
チケット購入窓口に並んでいる最中、
目当ての映画の上映時間を確認する。
エルヴィンにどこへデートに行きたいか、
と聞かれた時にすぐ思い浮かんだのは、
この映画を鑑賞することだった。
「観たい映画があったんだけど、
エルヴィンは楽しめるかなぁ……」
「どんな映画なんだ?」
「10年前に制作された名作映画なんだけど、
期間限定で復刻上映するらしくて。
迫力あるシーンが多いから、
一回映画館で見てみたかったんだよね。」
問いに答えつつ、
窓口の順番が回って来たので
映画のタイトルと鑑賞人数を伝え、
鞄から財布を取り出そうとすると
エルヴィンに制止され、動きを止めた。