第42章 甘い文字
「映画、というのは、
テレビとは違うのか?」
私の発言を無視しているのか、
聞いていなかったのかは分からないが、
相変わらずマイペースなエルヴィンに
問いかけられ、思わず頬が緩む。
こんなことを気にしているのは、
自分だけなんだろう。
エルヴィンはどれだけ女性に
艶っぽい視線を送られても、
一度も目を合わせている様子はなかった。
「映画のスクリーンは、
範司の研究室にあった
小さいテレビ画面なんかとは
比べ物にならないくらい大きいよ。」
適切な説明文が思い浮かばず、
見てもらった方が早い、
という結論を頭の中で導き出した。